ざっくりSUMITA

住田光学ガラスのことをざっくりご紹介

「光学ガラス」一般の方にとってはあまり馴染みのないものかもしれませんが、
実は身の回りの物に多く使われていて、目立たないながらも私たちの日常生活を支えています。
ごく一部ですが、SUMITAの製品が使われているものをご紹介します。

  • ・カメラや監視カメラ、顕微鏡のレンズ
  • ・駅のホームドア(センサー)
  • ・医療用内視鏡(胃カメラなど)
  • ・工業用内視鏡(検査など)
  • ・液晶画面の検査(テレビなど)
  • ・農作物の外観検査
  • ・水処理検査(水の殺菌)
  • ・光通信/ネットワーク(スーパーコンピューターの部品など)

02 since 1923年

1953年に設立した住田光学ガラスですが、その前身である「住田光学工業」を1923年(大正12年)に創業しています。
創業者の住田利八は1883年、滋賀県に生まれました。
小学校3年の時に教師と喧嘩をして退学。日露戦争出兵の際には集団で突撃する任務のさなか、ひとり集団から離れて敵陣を突破し、手柄を挙げ勲章をうけました。「人と同じ道を行くな」が口癖だったと聞きます。

創業者の住田利八と妻のしん

家業の下駄屋を継いでいましたが、30歳を過ぎた大正はじめに妻子を連れて上京。知人の誘いにより、見よう見真似でガラス加工を始めます。
ガラス加工と言っても、地中から掘り出した古いガスメーターから丸板ガラスを外して凹面に加工するというもの。当時は医師が額に巻く反射鏡に使われました。

元来手先が器用だったことも功を奏し、仕事も軌道に乗ってきましたが、関東大震災により本郷にあった自宅を失ってしまいます。
しかし利八は屈することなく西巣鴨へ転居。庭に物置のような工場を建て、本格的にガラス加工に乗り出します。こうして関東大震災の年の1923年、住田光学ガラスの前身となる「住田光学工業」を創立しました。

はじめは客先より預かったガラス材料を加工する日々。 小学校を中退した利八に、化学の知識は当然ありませんでしたが、諦めることなく研究を続け、少しずつ質の高いガラス加工ができるようになっていきます。
企業として大きく変わりだしたのは1932年頃。当時輸入品に頼っていた飛行機の風防ガラスの独自開発に成功。
品質を疑う航空機メーカーの担当者の前で、利八は風防ガラスの上に乗って跳んで見せ、納品にこぎつけたと聞きます。
続いて当時としては画期的であった、ガラスのプレス成形も開発。戦火の激しくなる中、海軍がプレス式レンズを採用し、事業も波に乗りました。

その後終戦を迎えますが、母材であるガラスブロックはほぼ輸入品という時代。そんな中、利八の息子である住田進の「母材である材料から、ガラスの熔解から手掛けたい」という思いから、当時としては大金の1000万をかき集め、1953年(昭和28年)住田光学硝子製造所を設立。これが後の住田光学ガラスになります。
ガラスの熔解から最終製品まで一貫して生産できる企業は、いまだ世界を見ても極一部です。
利八の「人と同じ道を行くな」という想いは今も引き継がれています。

SUMITAの特許第一号は、昭和26年に住田進が出願した
「特公昭28-005883光学硝子自動整形装置」。
今や保有特許は100を優に超えました。

「光学ガラスで、こんなことができたら面白い」
「今持っている技術の一歩先の技術を手に入れるためには…」。
SUMITAの研究開発は、いつもこんな発想から始まります。
採算や効率を重視することなく、研究者の新たな技術に対するこだわりから、これまで世界も目をみはるような優れた製品の数々が生み出されてきました。
難しいと言われたホタル石に近い性質を持つガラス「ホタロン」や、屈折率2.0を超えるガラス。
これらは一例ですが、こうした常識破りの技術の実現は、やはり、研究開発に対する強いこだわりを持つSUMITAだからこそ。
特許の数にもそれが表れています。

  • ・ガラス素材の製造方法及び製造装置
  • ・高屈折率の精密プレス成形用光学ガラス
  • ・精密プレス成形用光学ガラス
  • ・屈折率分布型レンズガラス組成物
  • ・近赤外吸収フィルタ用ガラス
  • ・イメージガイドファイバ
  • ・LTPまたはLATP結晶粒子の製造方法
  •  …他多数

SUMITAは3つのガラスを柱にしています。
全ての土台である「光学ガラス」
細く伸ばした「光ファイバー」
様々な形へ変化させた「光システム」。
ガラス素材の開発から最終製品まで一貫して手掛けることで、
技術と経験が蓄積され、それが財産となっています。

光学ガラス
SUMITAのコア技術である素材開発から光学ガラスの熔解・製造を行っています。
例:プレス用光学ガラス・特殊機能性ガラスなど
光ファイバー
光学ガラス材料から光ファイバーを紡糸します。光や画像の伝送が可能となります。
例:ライトガイド・イメージガイドなど
光システム
光学ガラス材料から、非球面レンズや光学部材を製造しています。
単体だけでなく複数のレンズや光学部材を組み合わせることで、様々なかたちで光を変化させ、目的へと導きます。
例:非球面レンズや光学デバイスなど
メディカル
3つの柱より作り出されたレンズやイメージガイドを使用し、医療用の部品やモジュール品を製造しています。
例:内視鏡用部品・モジュール品など

SUMITAが最初に海外とのビジネスを始めたのは1979年のこと。
今では売上の約40%を海外が占め、それは年々増加傾向にあります。

販売先は世界30ヵ国以上。

また、これまで開発した製品の中には、世界から注目を集めたものも少なくありません。
光業界最大の発行部数を誇る国際専門誌である
Photonics Spectra 誌主催の優秀製品賞を過去3度受賞しました。

今後は、より一層世界を舞台にしたビジネスを加速させていく計画です。

「うちの社員は、なぜ次々と新製品が作れるのだろう」という質問に
「それは、庭で放し飼いにされて育ったニワトリみたいな従業員がいるからだよ。」
と創業者の住田進が答えたことがあります。
狭い養鶏場のケージの中に安住する常識的な人材でなく
やる気と才能にあふれる個性的な従業員が自由闊達に飛び回る社風。
なぜ太郎はそのシンボルです。