機能性ガラス
銀系無機抗菌剤(LATP-Ag)

銀系無機抗菌剤(LATP-Ag)

銀系無機抗菌剤(LATP-Ag)は、住田光学ガラス独自の製法で作製した酸化物結晶に、抗菌作用を示す銀イオンを担持させた非溶出型の抗菌剤です。
抗菌作用を示す銀イオンが担体である酸化物結晶と強固なイオン結合を形成しているため、溶液中への溶出がほとんどなく、優れた抗菌効果が持続します。非溶出型銀系抗菌剤の抗菌作用については、銀イオン(Ag+)の触媒作用によって溶液中の溶存酸素(O2)が活性酸素(・OH)に変わり、その活性酸素(・OH)が細菌を死滅させる、と言われています。
また化学的に安定な無機酸化物のため、耐熱性、耐薬品性、耐光性等に優れており、毒性の低い製品です。

特長

  • 抗菌性・・・・銀イオンの抗菌作用により、高い抗菌力と幅広い抗菌スペクトルを有します(各種試験結果参照)。
  • 銀イオン保持能・・溶液中への銀イオンの溶出がほとんどなく、抗菌効果が持続します。
  • 耐熱性・・・・1000℃まで加熱しても変質や抗菌力の低下はありません。
  • 耐水性・・・・吸湿性はなく、高温高湿環境下でも安定です。
  • 耐薬品性・・・pH1~13の範囲で安定です。また有機溶剤に対しても安定です。
  • 耐光性・・・・・長時間太陽光等にさらされても変質や抗菌力の低下はありません。

提供形態

  • LATP-Ag粉末(粒子径~10μm)
  • 円柱型抗菌ブロック※(直径19mm、高さ19mm)

※ LATP-Ag粉末を多孔質円柱型ブロックの表面に焼き付けたものです。取り扱いが容易で、かつ比表面積が大きいため細菌との接触効率が高く、優れた抗菌作用を示します。

用途

  • 抗菌関連用品(粉末/円柱型抗菌ブロック)
  • 水溶液の抗菌処理(金属加工用水溶性切削液の腐敗防止、脱臭用に抗菌ブロックを使用)

※ 魚類や水棲動物等に影響が及ぶ環境では本製品を使用しないこと

最小生育阻止濃度(MIC)の測定結果

LATP-Agを各種培地中に添加して、各種菌に対する最小生育阻止濃度(MIC)を測定した結果を示します。
参考:MICは菌の生育を抑制するために必要な抗菌剤の濃度を示したもので、 数値が低いほど抗菌力が高いことを表します。

LATP-Ag粉末使用

試験菌 特 徴 MIC(ppm)
大腸菌 食品の汚染指標菌。病原性のあるものは、食中毒も引き起こす。 62.5
黄色ブドウ球菌 毒素型(エンテロトキシン)食中毒菌。化膿症の原因菌でもある。 125
緑濃菌 傷の化膿部や食品中で繁殖。人間、動物に対して病原性あり。 62.5
サルモネラ菌 人間、動物に対して病原性があり、チフス性疾患、食中毒、腸炎の原因となる。 125
セレウス菌 土壌、塵埃、水中など広範囲に分布する。食品の腐敗菌で、食中毒を起こす。 125
サッカロマイセス 食品の発酵に用いられる酵母。 125
カンジダ酵母 病原性酵母として人体のカンジダ症を引き起こす。 250
黒麹カビ アレルギー性疾患などの病原性カビ。果実、パン等に発生するカビ類の代表。 1000
ペニシリウム(青カビ) 食品の腐敗菌。カビ毒発生。人間の真菌性アレルギー性疾患の原因菌。 125

試験液中の試験菌の生菌数測定結果(保存温度:25℃)

抗菌ブロック使用

試験菌 区分 生菌数(/ml)
開始時 1時間後 3時間後 8時間後 24時間後
シュードモナス 試験液 5.6×104 - - - 0
対照 - - - 1.1×105
レジオネラ 試験液 *** 1.2×105 3.6×102 <10 <10
対照 2.1×106 1.3×106 9.1×105 1.0×106 3.5×105

抗菌ブロックにレジオネラ・シュードモナスを接触させ、8時間後、24時間後には各菌は全数死滅しました。高い抗菌性能を確認しています。

金属加工用水溶性切削液の腐敗防止

細菌数データ(抗菌ブロック使用)

腐敗菌に対する抗菌効果(1/24に抗菌ブロック設置後、菌数激減)

安全性

試験項目 結果概要
急性毒性(マウス) 経口投与において、最小致死量は5000mg/kg以上であり、その毒性はきわめて低い。
変異原性(微生物) 陰性
皮膚一次刺激性試験(ウサギ) 陰性(塗布部において、紅斑、痂皮および浮腫は観察されず、刺激性を有さない)
皮膚毒性(ラット) 経皮投与において、最小致死量は2000mg/kg以上であり、その毒性はきわめて低い。
カタログダウンロード