光学デバイス
非球面レンズを活用した高精度ラインレーザー

非球面レンズを活用した高精度ラインレーザー

レーザー用非球面シリンドリカルレンズからラインレーザーまでカスタム製作
パウエルレンズを含む非球面シリンドリカルレンズによって、強度分布が均一なラインレーザーを構成することが可能です。
測定精度の向上、加工品質の安定化、視認性の向上に貢献します。

住田光学ガラスでは、非球面シリンドリカルレンズのカスタム製作を行っており、お客様の仕様に応じた最適なレンズを提供可能です。

  • ご要望の入力ビーム・投影距離・ライン長さとライン幅などに応じてカスタマイズ
  • 試作から量産まで対応
  • レンズ・レンズユニット・ラインレーザーモジュール・ラインレーザーまでご要望の形態で製品提供

ラインレーザーの完成品例:レーザーラインジェネレーター

均一な照度分布を実現
SUMITAのレーザーラインジェネレーターは、ガウス分布を光学系で制御し、両端まで非常に均一な出力を得る事が可能です。また、平均寿命10,000時間の高寿命を実現しました。

仕様

項目 30°小型ラインジェネレーター 60°小型ラインジェネレーター 90°小型ラインジェネレーター
サイズ(φDxL) φ10x30mm φ8x29mm φ10x33mm
ライン規格(W.D.100mm) ライン長:50mm
ライン幅:1.0mm
ライン長:125mm
ライン幅:1.0mm
ライン長:190mm
ライン幅:1.0mm
外部固定推奨範囲 20mm
推奨W.D. 100〜500mm
波長 655nm
出力 ※ 1mW以下 Class1
平均寿命 10,000h
電源電圧 DC5V±5%
使用温度範囲 -10〜+50°C
使用湿度範囲 20〜85%RH
コード長 500mm

※ 出力切替え式はご相談ください

  • 照射写真

  • ビームプロファイル

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ラインレーザーの基礎知識

ラインレーザーとは

ラインレーザーとは、点光源のレーザー光を線状(ライン状)に広げた光のことです。その基本原理は、レーザー光を光学レンズによって一方向に広げています。典型的にはシリンドリカルレンズ(円筒レンズ)などを用いてレーザービームを片軸方向にのみ広げて、対象物上に一直線のレーザーラインを形成します。

ラインレーザーは、測定器やマシンビジョンで広く利用されており、例えば三次元スキャナでは対象物にラインレーザーを照射し、その線の歪みをカメラで読み取ることで物体の形状を高精度に計測します。また、製造現場の位置決めやアライメント作業では、床面や加工物に基準となるレーザーラインを投影することで正確な位置合わせを実現します。均一で安定したラインレーザー照射は、システムの測定精度向上や画像処理の信頼性確保に直結します。

波長ごとのラインレーザーの用途

レーザー光はその波長(光の色)によって特性が異なり、ラインレーザーとして利用する際の適性や用途も変わってきます。

青色レーザー (405–450nm)

青色や紫色のレーザー光は波長が短く、細いスポットを形成できるのが特長です。精密な位置決めやマーキングに使用されます。銅などの金属は高い吸収率を持つため、金属加工に使われる波長です。

緑色レーザー (520–532nm)

緑色は人間の視感度が最も高い波長域であり、同じ出力なら赤の数倍~十倍近く明るく見えます。そのため屋外測定や大規模な空間でのライン照射に適しており、建築現場のレーザー墨出し器や長距離の直線ラインを使う測量器具で多用されています。

赤色レーザー (635–660nm)

可視光の中では人間の目に対する感度がやや低めですが、その分比較的安全に高出力化しやすく、半導体レーザー素子も安価に入手できるため最も一般的に利用されています。室内での距離測定器や水平器のライン光、工作物のマーキング用ガイドラインなど汎用的な測定・位置決め用途に広く使われています。また、カメラによる検出ではCMOS/CCDセンサーの感度が高い波長帯(600nm超)であることから、マシンビジョン向けにも適しています。反面、太陽光下での視認性は緑色レーザーに劣るため、明るい屋外では使用距離が制限される場合があります。

赤外線レーザー (780–1064nm)

赤外領域のレーザーラインは人の目には直接見えないため、主にカメラやセンサーを介した測定に使われます。波長が長いほど空気中の散乱が少ないため、長距離測定が可能となります。LiDARや3Dスキャナ、医療分野などに使用されます。

ラインレーザーに求められる機能

光強度の均一性

ライン全体でムラのない強度分布が重要です。中央だけが過度に明るいとセンサーが飽和したり、端が暗いと検出漏れが起きたりするため、可能な限りフラット(平坦)な強度分布が理想です。

上:自社レーザーポインターと直径3mmのガラスロッドを使用
下:自社の30°小型ラインジェネレーター

照射角

ラインレーザーの開口角(ファン角とも呼ばれます)は、必要な照射範囲をカバーするための重要なパラメータです。例えば狭い範囲のみを測定する場合は小さな開口角で十分ですが、広い面を一度に照射したい場合は大きな開口角が求められます。

ただし開口角が大きいほど一箇所あたりの光エネルギー密度は下がるため、必要なライン長と光強度のバランスを見極めた設計が重要になります。

使用距離

ラインレーザーの照射距離は用途によって異なり、屋外では長距離で使用する場合にはより強力なレーザーが求められます。
また、確認を人が行うか、カメラやセンサーなどで行うかによって使用する波長や強度も異なります。

ラインレーザーを実現する技術

ラインレーザーを作る光学素子として、代表的な物に球面シリンドリカルレンズとパウエルレンズを含む非球面シリンドリカルレンズがあります。ここでは従来から使われてきた球面シリンドリカルレンズ方式の課題と、非球面レンズ方式の特長について解説します。

項目 球面シリンドリカルレンズ方式 非球面シリンドリカルレンズ方式
光強度の均一性 ガウシアン分布をそのまま投影するため、ライン中央が非常に明るく端は暗い。強度ムラが大きい。 非球面形状により、ライン全体で均一な強度分布を実現。中央のホットスポットがなくムラが小さい。
ラインの精度 エッジに向かって徐々に光が減衰するためライン端が不鮮明。ライン外への光の漏れも大きく、測定上のノイズ源となり得る。 鮮明なエッジを持つ直線を形成。不要な散乱光が少なく、ラインの直線性・エッジの定義が優れる。高精度なライン位置決めや画像処理に適する。
照射角(カバー範囲) レンズの設計上、大きな角度でのライン投影は光量低下や収差増大により実用上限界がある。 設計により広い照射角が(90°越えも)可能。一度に広い範囲を照射できるため測定効率が高い。
主な用途 簡易なライン生成(レーザーレベル器、プレゼン用ポインタ等)や、均一性要求の低い用途。コスト重視の場合に選択。 高精度計測やマシンビジョン全般。3Dスキャナ、工作機械の位置合わせ、、医療・研究用途など均一照明が求められる分野。

球面シリンドリカルレンズ方式

中央の強度が強く、端が弱い

球面シリンドリカルレンズ方式

非球面シリンドリカルレンズ方式

均一な強度

非球面シリンドリカルレンズ方式

このように、ラインレーザーの品質において非球面レンズ方式は従来方式よりも均一性・直線性・照射角(カバー範囲)のいずれも優れており、測定精度や安定性の向上に寄与します。ただしレンズ製造コストは一般に非球面レンズの方が高く、高度な研磨技術が要求されます。

低コスト・高精度の独自製造技術

住田光学ではガラスモールドによる非球面レンズの独自の成形技術を保有しております。 そのため、コストを抑えた高精度な非球面レンズの量産が可能です。用途に合わせた最適なレンズ設計を実現します。

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